先週末、日本人の友達と韓国料理のお店に行きました。食べ終わったころ、友達に「『美味しい』と『ごちそうさま』って、韓国語だとどう違うの? 食べる前にも何か言うよね?」と聞かれました。似た言い方がいくつもあって、迷いますよね。
答えているうちに、日本語とのちがいがおもしろくなってきました。
この記事では、「美味しい」の맛있어요(マシッソヨ)と、食事の前後に使う잘 먹겠습니다(チャル モクケッスムニダ)・잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ)を紹介します。丁寧さの違いや発音、例文もいっしょに見ていきます。
今日のひとこと
- 맛있어요(マシッソヨ):美味しいです
- 잘 먹겠습니다(チャル モクケッスムニダ):いただきます(食べる前)
- 잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ):ごちそうさまでした(食べたあと)
맛있어요(マシッソヨ):「美味しいです」の定番
意味
맛있어요(マシッソヨ/masisseoyo)は「美味しいです」という意味です。食べ物や飲み物の味をほめるときの、いちばん基本の言い方です。
韓国料理のお店でも、友達とのごはんでも、そのまま使えます。店員さんに伝えると、きっと喜ばれます。
成り立ち
맛(マッ)は「味」、있어요(イッソヨ)は「あります」にあたります。直訳すると「味があります」です。맛は韓国語もともとの言葉(固有語)なので、漢字はありません。
日本語の「味がある」は「趣がある」というニュアンスですよね。でも韓国語の맛있다(マシッタ)は、ストレートに「美味しい」という意味です。反対の맛없어요(マドプソヨ)は「美味しくない」で、かなりはっきりした言い方なので、人に向けてはあまり使いません。


丁寧さの使い分け
합니다体(ハムニダ体)はかしこまった丁寧な言い方、해요体(ヘヨ体)はやわらかい丁寧な言い方、반말(パンマル)はタメ口のことです。맛있어요は해요体なので、目上の人にも普段のやりとりにも使いやすい形です。
| 相手 | 言い方 | カナ読み |
|---|---|---|
| 目上・初対面 | 맛있습니다(합니다体) | マシッスムニダ |
| 同僚・知り合い | 맛있어요(해요体) | マシッソヨ |
| 友達・年下 | 맛있어(반말) | マシッソ |
「すごく美味しい」と言いたいときは、前に정말(チョンマル/本当に)や진짜(チンチャ/本当に・マジで)を付けます。진짜は友達同士のくだけた場面向きです。
発音のポイント
맛있어요は、つづり通りに読むと「マッイッソヨ」になりそうですが、実際は「マシッソヨ」と聞こえます。맛の「ㅅ」が、次の있の母音のところへ移って読まれるからです(連音化といいます)。
「マシ」のあとの「ッソ」は、少し強く濃い音です。「ッ」で軽くつまってから「ソヨ」と続けると、自然に聞こえます。なお、「マディッソヨ」に近い発音も標準として認められていますが、日常では「マシッソヨ」と言う人が多いです。
例文
旅行先の食堂で、食べ終わったお客さんが店員さんに
정말 맛있어요!
チョンマル マシッソヨ
本当に美味しいです!
友達へのメッセージで、昨日のお店の感想を
어제 먹은 떡볶이 진짜 맛있었어!
オジェ モグン ットクポッキ チンチャ マシッソッソ
昨日食べたトッポッキ、本当に美味しかった!
職場で、ランチに誘いたい同僚へ
이 집 김치찌개 맛있어요. 같이 가요!
イ チプ キムチッチゲ マシッソヨ カチ カヨ
このお店のキムチチゲ、美味しいですよ。一緒に行きましょう!
ユンジェのひとこと
「マシ」のあとを軽くつまんで「ッソヨ」と続けると、自然に聞こえますよ。友達同士なら「진짜 맛있어(チンチャ マシッソ)」が定番です。
注意点
食べる前に「美味しそう」と言いたいときは、맛있겠다(マシッケッタ)や맛있겠어요(マシッケッソヨ)を使います。맛있어요は、食べて味がわかったあとの言葉です。
語尾を上げて맛있어요?と言えば、「美味しいですか?」という質問になります。
잘 먹겠습니다(チャル モクケッスムニダ):食べる前の「いただきます」
意味
잘 먹겠습니다(チャル モクケッスムニダ/jal meokgetseumnida)は、食べる前に言う「いただきます」にあたる表現です。直訳は「よく食べます」です。
いっしょに食べる人、とくに作ってくれた人やご馳走してくれた人に向けて言うことが多いです。日本のように毎回みんなで声をそろえるとは限らず、家庭やお店によっても違います。
成り立ち
잘(チャル)は「よく・上手に」、먹다(モクタ)は「食べる」です。겠(ケッ)は「これから〜します」という意志を表し、습니다(スムニダ)はかしこまった丁寧の語尾です。
日本語の「いただきます」は、「もらう」の謙譲語(へりくだった言い方)から来た言葉ですよね。韓国語は「よく食べます」という作りなので、言葉の成り立ちは違います。それでも、感謝の気持ちを込めて言う点は同じです。
丁寧さの使い分け
잘 먹겠습니다は합니다体なので、目上の人や初対面の人にぴったりです。親しい相手には、「〜するね」という軽い言い方の잘 먹을게요(チャル モグルケヨ)や잘 먹을게(チャル モグルケ)を使います。
| 相手 | 言い方 | カナ読み |
|---|---|---|
| 目上・初対面 | 잘 먹겠습니다(합니다体) | チャル モクケッスムニダ |
| 同僚・知り合い | 잘 먹을게요(해요体) | チャル モグルケヨ |
| 友達・年下 | 잘 먹을게(반말) | チャル モグルケ |
해요体で잘 먹겠어요(チャル モクケッソヨ)と言う人もいます。日常会話では、잘 먹을게요のほうがやわらかく聞こえます。
発音のポイント
먹겠습니다は、読み方が少し変わるところが2つあります。1つ目は먹겠の「ㄱ」です。먹の「ㄱ」(パッチム)のあとに「ㄱ」が来ると、後ろが濃くて強い音に変わります。「モクケッ」と、「ケ」を少し強めに言うイメージです。
2つ目は습니다です。「ㅂ」のあとに「ㄴ」が来ると、「ㅂ」が「ㅁ」の音になります(鼻音化といいます)。なので「スプニダ」ではなく「スムニダ」です。
例文
友達の実家に招かれて、友達のお母さんに
어머니, 잘 먹겠습니다!
オモニ チャル モクケッスムニダ
お母さん、いただきます!
職場で、同僚が差し入れのお菓子を配ってくれたとき
감사합니다. 잘 먹을게요!
カムサハムニダ チャル モグルケヨ
ありがとうございます。いただきますね。
友達が家で作ってくれた料理がテーブルに並んだとき
와, 맛있겠다! 잘 먹을게!
ワ マシッケッタ チャル モグルケ
わあ、美味しそう! いただくね。
ユンジェのひとこと
毎回みんなが言うわけではなく、ご馳走してくれた人や作ってくれた人に伝えるイメージです。家庭によっても違います。
注意点
ごはんを出してくれた人は、「どうぞ召し上がれ」にあたる맛있게 드세요(マシッケ ドゥセヨ)と言うことがあります。その返事として、잘 먹겠습니다がよく使われます。
먹다(モクタ)の敬語は드시다(ドゥシダ)ですが、これは相手の動作に使う言葉です。自分が食べるときに드시다は使いません。
잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ):食べたあとの「ごちそうさま」
意味
잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ/jal meogeotseumnida)は、食べ終わったあとに言う「ごちそうさまでした」にあたる表現です。直訳は「よく食べました」です。
作ってくれた人やご馳走してくれた人への、お礼の気持ちを込めて使います。おごってもらった翌日に「昨日はごちそうさまでした」と伝えるときにも使えます。
成り立ち
잘 먹겠습니다の겠(ケッ)が、過去を表す었(オッ)に変わった形です。つまり「これから食べます」が「食べました」になっています。
日本語の「ごちそうさま」は、もてなしてくれたことへの感謝を表す言葉ですよね。韓国語は「よく食べました」と、食べた事実をそのまま言う形です。ここも、違いを知るとおもしろいところです。
丁寧さの使い分け
겠が었に変わるだけで、使い分けは잘 먹겠습니다とほぼ同じ形です。「よく食べました」を、相手に合わせて語尾だけ変えます。
| 相手 | 言い方 | カナ読み |
|---|---|---|
| 目上・初対面 | 잘 먹었습니다(합니다体) | チャル モゴッスムニダ |
| 同僚・知り合い | 잘 먹었어요(해요体) | チャル モゴッソヨ |
| 友達・年下 | 잘 먹었어(반말) | チャル モゴッソ |
感謝をもう少し足したいときは、잘 먹었습니다. 감사합니다(カムサハムニダ)と続けます。감사は漢字で書くと「感謝」で、日本語と同じ言葉です。
発音のポイント
먹었습니다は、つづり通りには「モクオッスムニダ」になりそうですが、実際は「モゴッスムニダ」です。먹の「ㄱ」が、次の었の母音のところへ移って「ゴ」と読まれます。
었の「ㅆ」(パッチム)は、小さい「ッ」のように軽く止める音です。あとの습は、「ッ」のあとなのでそのまま「スム」と読みます。해요体の먹었어요も、同じ理由で「モゴッソヨ」です。
例文
食堂を出るとき、店員さんに
잘 먹었습니다!
チャル モゴッスムニダ
ごちそうさまでした!
ご馳走になった日の夜、友達に送るメッセージ
오늘 고마워! 잘 먹었어.
オヌル コマウォ チャル モゴッソ
今日ありがとう! ごちそうさま。
職場で、ランチをおごってもらったあと同僚に
잘 먹었어요. 다음엔 제가 살게요.
チャル モゴッソヨ タウメン チェガ サルケヨ
ごちそうさまでした。次は私がおごりますね。
ユンジェのひとこと
店を出るときに店員さんへ「잘 먹었습니다(ごちそうさま)」と声をかける人もいます。日本の「ごちそうさまでした」に近い感覚かなと思います。
注意点
食後に味をほめたいときは、過去形の맛있었어요(マシッソッソヨ)を使います。「잘 먹었습니다. 정말 맛있었어요.」と続けると、気持ちがしっかり伝わります。
目上の人には반말の잘 먹었어は避けて、잘 먹었습니다か잘 먹었어요を使ってください。友達同士ならば잘 먹었어で大丈夫です。
この場面で何て言う?
韓国旅行で民泊に泊まった朝、初対面の年上のホストのおばさんが朝ごはんを用意してくれました。お皿がすっかり空になり、あなたが席を立つときにおばさんへかける一言はどれでしょう。
答えを見る
A. 잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ)
決め手は、お皿が空になったあとというタイミングと、相手が初対面の年上の人であることです。そのため、過去の形でかしこまった합니다体の잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ)がぴったりです。잘 먹겠습니다(チャル モクケッスムニダ)は食事を始める前に言うときによく使い、잘 먹었어(チャル モゴッソ)は友達や年下などの親しい相手に使うタメ口です。
まとめ
- 맛있어요(マシッソヨ):食べて味がわかったときの「美味しいです」
- 잘 먹겠습니다(チャル モクケッスムニダ):食べる前に言う「いただきます」
- 잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ):食べたあとに言う「ごちそうさまでした」
今回の覚え方は、丁寧さの順に並べて、3つ1セットで覚えることです。タメ口→やわらかい丁寧→かしこまった丁寧の順に、語尾が長くなっていきます。
- 맛있어(マシッソ)→ 맛있어요(マシッソヨ)→ 맛있습니다(マシッスムニダ)
- 잘 먹을게(チャル モグルケ)→ 잘 먹을게요(チャル モグルケヨ)→ 잘 먹겠습니다(チャル モクケッスムニダ)
- 잘 먹었어(チャル モゴッソ)→ 잘 먹었어요(チャル モゴッソヨ)→ 잘 먹었습니다(チャル モゴッスムニダ)
短い形ほどくだけていて、長くなるほど丁寧になります。相手に合わせて、一段ずつ選んでみてください。
次に韓国料理のお店へ行ったら、ひとこと試してみてください。僕もまた友達とごはんに行くのが楽しみです。








